発表者: 医療法人志仁会 西脇病院 外来看護課(訪問・デイケア) 渡邉 真由美(Ns)
西脇病院は平成25年4月より新病棟の開設に伴い、病床数229床から218床に減少し、従来からの統合失調症治療に対してさらなる進化を模索しつつ、「うつ病と依存症」の治療により特化したサービスを行う中で、地域移行推進の一環として訪問看護が行われています。当院の訪問看護は、勤続40年のベテランの看護師をチーフとして他職種と連携しながら行われていました。しかし、その看護師が定年退職され、訪問看護のシフトを変更する必要性がでてきました。
私は当院に就職する以前に、短期間ではありましたが養護教諭として小学校に赴任し、その中で子ども達の学びを支えていくには学校・家庭だけではなく地域社会との連携・協力が不可欠でした。また、他の精神科病院に勤務していた際に、開放病棟で外出・外泊も単独で行っている患者さんをみる中で、退院して訪問看護を行うことで地域生活が可能なのではと思うことがあり、そういった経験からも私は訪問看護に興味を持つようになりました。
そして、私は当院に就職して外来・デイケアに関与しながら訪問看護を行っています。当院での訪問看護は、精神保健福祉士(PSW)を中心に看護師同伴で訪問するという形をとっています。しかし、私は訪問看護とは「看護」と表現されており「看護」が中心ではないかという考えを持ちながら、PSW同伴で訪問看護を行っていました。訪問看護を行う中で、生活部分での支援が必要な患者さんや身体観察が必要な患者さんなど色々な患者さんと関わることで、私自身の訪問看護に対する考え方が変わっていったのも事実でした。
また、前任者であるベテランの看護師から以前の訪問看護のあり方を発言して頂きながら、それに加えてPSWからは、前任者から私への訪問看護のバトンタッチにより変わったこと、バトンタッチしても変わらないことを具体的な内容で発言して頂きました。そのことからも、訪問看護を行う患者さんの目標設定や指示内容で看護師・PSW等、それぞれの生体性はケースによって選択されること、そして、他職種と共に互いに専門性を活用する連携が重要であることに私は気付かされていきました。さらに、外来業務やデイケアに関与することは、常に訪問看護に関係していることも再確認できました。
今回、就職したばかりの新人訪問看護師として、当院の訪問看護の活動と現状を報告し、前任者の訪問担当看護師やPSWによる指定発言を含めた発表となりました。コメンテーターの帆秋先生から「精神疾患の患者さんとアルコール依存症の患者さんとの訪問看護の違いは何か」と聞かれる場面がありましたが、私はうまく表現できず答えることが出来ませんでした。しかし、前任者のベテラン看護師より、精神疾患の患者さんは精神状態の観察・睡眠状態・内服の確認、アルコール依存症の患者さんは生存確認・アルコールの有無と量の観察だと答えられ、私自身が教えられました。
また、PSWからみた訪問看護として事例紹介を加えながら、訪問看護におけるPSWの意義などを帆秋先生やフロアにいる方々と共に深めていきました。フロアからは質問だけではなく、フロアにいる方々の所属病院における訪問看護の現状や悩んでいること話して頂き、西脇病院の訪問看護しか知らなかった私は、他の病院の訪問看護を知る貴重な時間となり、訪問看護における情報や意見交換の場ともなりました。
帆秋先生からの「レミッションだけではなくリカバリーをみていくことも大事」という言葉が印象的で、訪問看護に対する考え力・対応が変化し、地域で生活する患者さんをよりよくサポートしていくことが重要であると改めて感じることができました。
第1分科会は、コメンテーターの帆秋先生や司会の川浦PSWの進行により、私だけではなく前任の訪問担当看護師・PSW、またフロアも発言しやすい環境をつくって頂きました。その上「私対フロア」ではなく、私とフロアが一体となった一つの集会としての分科会が進行され充実した時間となりました。
最後になりましたが、コメンテーターの帆秋先生、司会の川浦PSW、最後まで参加して頂き貴重な意見を下さった参加者の皆様、そして発表までに協力して下さった方々に心から感謝申し上げます。