発表者: 医療法人志仁会 西脇病院 岩野 輝次(Ns)
当院の4病棟は、平成25年4月より新病棟の開設に伴い、病床数229床から218床に減少し、『うつ病と依存症の治療に特化したサービス』を行う、新たな病院運営をスタートした。患者層は、様々な依存症・非定型うつ病・定型うつ・境界例などの方々に対して、治療提供をチーム医療で行っている。
本年度の外来受診数は、1日平均90名であり、1ヶ月の入退院数は約60名で、その9割強は任意入院である。疾患割合は、F3・F1・F2の順で多く、その殆どがストレスケア病棟で開放・急性期治療病棟に入院している。そこでは、任意入院が主体であり、3ヶ月を目途に治療契約の再検討を行い、患者の意思に基づき、転棟しての治療継続や退院して外来治療などを選択することも可能としている。
そういった治療システムの中で今回、精神科病院の新たな職域として、入退院調整やベッド調整を行うコントロールマネージャーの役割を紹介しながら、それに関係する他職種(1~6)が、この分科会のフロアーから発言して役割紹介を交えていった。
- アルコール医療の変革(訪問課看護師)
- 急性期治療病棟紹介 (病棟看護師)
- 復職プログラム(担当PSW)
- 作業療法プログラム(担当OT)
- もう一人のコントロールマネージャー(担当PSW)
- コンセルジュ(担当PSW)
このように色々な職種が役割を担い、病院機能として入口から出口といった、チーム医療を当院は行っていると言って良い。その一連の流れの中で、私自身がコントロールマネージャーを担当して約1年半が経過している。できるだけスムーズな調整を考えながら動いてはいるが、各主治医の治療方針の違いから入院期間が長くなり、病棟間でのベッド調整が困難になること、病棟内でのベッド調整もできなくなること、また、月末の退院数が多い時に、ベッド数との関係で経営的にも影響するといった色々な現象が起こることを実感した。そして、ベッド調整をするにあたっては、それだけには留まらず、各主治医や各職種への交渉や調整も必要になることを痛感している。
そういった私の苦労と表現した点を、この分科会の司会を担当していただいた不知火病院の原さんは、当然ベッド調整に関係されている方のようで、私自身の苦労している点を、御自身の臨床経験からより具体的に伝えていただき、その点を分科会に参加しているフロアーに投げかけながら、旨くディスカッションを交えてくれた。やはり、幾つかの施設からは入院となる患者さんに対して、1ベッドが奪い合いになることもあり、毎日の会議とベッド調整を担当するスタッフを配置していると言うことだった。
一方で、コメンテーターの義村先生は、何故、コントロールマネージャーを看護師が担当しているのか。このことに焦点をおき、看護は勤務交代の中で24時間病棟に勤務している。 病棟の患者状況を最も把握していることが重要で、それが看護である。だから、入退院の調整やベッド調整を効率良く行えるのは看護であり、それがメリットだと義村先生が解り易く我々に伝えてくれた。
私は、義村先生のコメントを聞きながら、凄く説得力のある言葉であり、なるほど・・・と感じていた。私自身、この職域を担当してから、各病棟や各部署に常々足を運び状況を確認したり、管理者とも会話を繰り返している。これは、私自身が、コントロールマネージャーという職域を理解し、そして理解されようとしているそれぞれの職種との垣根を超えることだったと今は思えている。
今回このような発表の機会をいただき、チーム医療の中でコントロールマネージャーの役割を再確認できたこと。そして、患者本人との治療契約に基づく入院の在り方。いわゆる、任意入院を基本として、当院の4病棟のベッド調整をもっと効率良く行なえればと考える。
最後になりましたが、 司会の原さん、コメンテーターの義村先生、最後まで熱心に聞いてくださった参加者の皆さんに感謝申し上げます。